チャーガ(樺のあな茸)は主に北半球の寒い地域の樺の木に生えるキノコです。
このキノコはパッと見、魅力的なものには見えません。(実際、その姿はキノコにすら見えません。)しかし、見た目とは裏腹に、このキノコは計り知れない健康価値を持っています。
チャーガ茸とは?
チャガは健康意識の高い東洋では、主にお茶として何百年もの間、消費されてきました。
特に最近では、西洋でも専門家により健康価値の高いものが認識され始め、チャガの知名度も上がりました。
厳密には、チャガは樺の木に感染した無害である“樺のあな茸”が、高濃度に濃縮し、菌糸の黒い塊になり突き出たものです。燃えた木炭のような、黒く硬くひび割れた外面は菌核と呼ばれます。内部は錆びた黄褐色です。
チャーガ茸の効用は?
チャガの効用は多岐にわたるが、その多くがチャガの持つ免疫向上成分と抗酸化作用によります。それでは、それぞれ6つの効用を見てみましょう。
- 免疫系を養う
チャガは身体の免疫反応のバランスを整えるβ-D-グルカンを多く含みます。
これはチャガが必要な時に免疫系を強化し、過剰に活動し過ぎている時にはその働きを弱める事を意味します。これにより、チャガは自然な免役応答物質(BRM)と呼ばれます。
研究では、チャガが免疫細胞を活性化し、癌の着手を防ぐと言われています。研究はまだ途中であり、チャガの持つ癌に対するすべての効果を明らかにするには、さらなる研究が必要です。チャガは化学療法などの一般的な癌の治療法などが持つマイナスの副作用を補い、その治療法を支える効果が証明されています。
私は、間違いなくチャガが癌の進行を止めるとは言いません、しかしながら、チャガには何か生命に重要な化合物が含まれている事は明確であり、さらなる研究がなされる事は間違いないと言えます。
- 心を鎮める効果
チャガは血管の状態を良くし、イライラした時などに心を鎮めてるくれます。これは痛みや、神経炎、さらには糖尿病にも良い効果があります。
- 潰瘍や胃炎
チャガには免疫を向上させる特性があるため、東洋では長い間、胃腸の良薬として使われてきました。多くの潰瘍はヘリコバクターピロリなどのバクテリアが原因で引き起こります。
なので、免疫系が正常に働いていればこれらの病原菌に打ち勝つことができます。症状の進行具合や、患者さんの状態にもよりますが、潰瘍はチャガによって和らげることが可能です。
- 血圧やコレストロール値を正常にする
研究では、チャガが持つベツリン酸が血流内のLDLコレストロール(悪いコレストロール)を破壊することが証明されています。
- 抗菌作用
ある研究では、チャガ茸から抽出された化学的特性と生物活性は高い抗酸化作用と抗菌作用があることが証明されました。
- DNAの損傷を防ぐ
ある研究では、事前にチャガ茸のエキスで処理した細胞とそうでない細胞を、H202により酸化によるストレスを誘発させたところ、チャガ茸のエキスで処理した細胞が少ないストレスを示しました。
- チャガ茸の抗ウイルス特性
少ない数ではありますが、チャガ茸の抗ウイルス特性について調べた研究が行われています。最新の2つの研究では、チャガ茸がひどい皮膚疾患などから皮膚を守ることを示しました。
抗酸化の特性
それでは、チャガが持つこうした健康に与える効果はどのような成分によるものなのでしょうか?チャガを健康食と呼ばせる6つの代表的な成分を見てみましょう。
- 多糖類
チャガはそのキチン質(菌類の細胞壁)の中に構成された多糖類を含みます。それらの多糖類はエネルギーを供給し、循環器系や腸、肝臓を健康にし、血糖値を正常に保ちます。また、気分を向上させるとも言われています。
- β-D-グルカン
β-D-グルカンは免疫系を整える力があります。また、コレストロール値と血糖値が正常化する助けをします。
- フィトステロール(植物ステロール)
チャガに含まれるフィトステロールの内、45%はラノステロール、25%はInotodiols、残りの30%はエルゴステロール、フェコステロールとその他で構成されています。生体内及び試験管内の実験によると、ラノステロール、Inotodiols共に癌細胞に直接影響を及ぼし、ラノステロールは生体内化合物に対して良い影響を与えます。
- ベツリンとベツリン酸(トリテルペン)
ベツリンとベツリン酸は強力な治癒力を持つ作用物質で、コレステロール値を正常に保つ効果があるとして近年研究されています。その素晴らしい効能に付け加え、ベツリン、ベツリン酸は、癌とウィルスにも関わりがあるとされ研究されています。
- 抗酸化
チャガの菌核はメラニンとして知られる大量の天然黒色色素を含んでおり、これに含まれるポリフェノールにより高レベルの抗酸化作用を持ちます。実際チャガは、数あるスーパーフードの中でも最も高いORAC(食品に含まれる抗酸化物質の数値)指数を持ちます。
- SODs(スーパーオキシドディスムターゼ)
SODsはチャガに含まれるもう一つの重要な抗酸化物質です。SODはスーパーオキシドディスムターゼと呼ばれる酵素の集まりを指し、これらの酵素は、我々の体に有害な影響を及ぼす酸化やフリーラジカル(http://www.weblio.jp/content/free+radical)から、私たちの体を守る役割を持父ます。
チャーガ茸 vs. スーパーフード
健康価値の観点で、チャガは他のよく知られたスーパフードに比べ、とても良いパフォーマンスを示します。
キノア vs. チャーガ
キノアは豊富なフラボノイド、ビタミン、抗酸化物質を含みます。クェルセチンを多く含むものは、心臓や、呼吸器系を健康に保つのに役立ち、加えて、細胞のフリーラジカルからの損傷を防ぎます。チャガの血流内での抗酸化作用は、キノアの持つそれよりさらに多いとされています。
ゴジベリー vs. チャーガ
チャガと同じ様に、ゴジベリーも多くのポリサッカロイド(多糖)を含みます。しかしながらチャガとは違い、ゴジベリーに含まれるポリサッカロイドは主にペクチンです。対照的に、主にチャガのポリサッカロイドに含まれるのは、人の食用としてとても有能で摂取が困難なキチンです。現代の典型的なダイエットはペクチンを多く取り、少量もしくは全くキチンを取っていません。
アボカド vs. チャーガ
アボカドは、葉酸やビタミンDなど、とても多くの有効な栄養素を含んでいます。これらの栄養素や脂質は、コレストロール値を低くし心臓を健康に保ちます。チャガに含まれるβ-D-グルカンもまた、消化の過程で血流に溶け込むことでコレストロールを防ぎ、コレストロール値を改善します。
どこでチャーガ茸を見つけるか
チャガを見つけるのは簡単ではなく、私たちはしばしそれを、木のねじれ目や、燃え痕などと勘違いしてしまいます。チャガは、北ヨーロッパやロシア、韓国、カナダやアメリカなどの、主に北半球の寒い原生地で、主に樺の木で育ちます。
北アメリカでは、チャガはもっぱら北東部の樺の木の表面で見つかり、特にキハダカンバやアメリカシラカバの表面で見つかります。アメリカシラカバは紙の様に広範囲にカールしながら剥離できる白い樹皮を持った森林地帯でよく見られる木です。この樺の木は北アメリカ北東部の高低地で見られます。キハダカンバは小さくカールしながら剥離する黄色い樹皮を持つ森林地帯でよく見られる樺の木です。一般的に、よく育ったチャガは樹齢40年以上の樺の木で見られ、様々な形、大きさになります。大抵、隆起部分がパリッとしたドーム型や円錐型、ツノ型で見つかります。
チャーガ茶の作り方
最も一般的なチャガの摂取法はお茶にして飲むことです。家で試せる私のお気に入りの簡単なレシピを紹介します。
- チャガ全体をおよそ10gほどの塊に崩す。
- 塊をブレンダーやコーヒーミルなどで挽き粉末にする。
- ティースプーン1杯分(強めが好きであれば2杯分)をお茶の抽出器に入れる。
- お気に入りの大きめのマグカップに抽出器をセットし、約400mlのお湯を注ぐ。
- そのままチャガとお湯を最低でも5分間浸す。(より長く浸せばより生物活性成分を抽出できる。)
- 抽出器をマグカップから外し、メープルシロップやハチミツで味付けする。
参考文献:
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元記事
Chaga Mushroom: The Immune-Boosting Superfood
by Dr. Edward Group DC, NP, DACBN, DCBCN, DABFM
http://www.globalhealingcenter.com/natural-health/chaga-mushroom-the-immune-boosting-superfood/