健康をサポートしてくれるのは?霊芝とシベリア霊芝の特徴を解説
霊芝は、さまざまな薬効が期待できることから、健康食品や医薬品の原料にもよく用いられています。
しかし最近「シベリア霊芝」という霊芝の名前を目にすることが増えてきました。
一般的な霊芝とシベリア霊芝は、同じなのでしょうか?それとも違うのでしょうか?
違うとしたら、いったいどのような点に違いがあるのでしょうか?
今回は、霊芝とシベリア霊芝の違いと、それぞれの特徴について比較しながら解説します。
霊芝
まず一般的な「霊芝」は、万年茸(マンネンダケ)という名称でも呼び交わされています。
日本では古来より「さるのこしかけ」という名称でも親しまれていますね。
霊芝は、いわゆるキノコの一種です。
椎茸と同じように、樹木に直接定着した状態で成長し続けるキノコですが、椎茸と比べると多くの薬効を有している点について違いがあります。
現在のように西洋医学が発展していなかった時代には、優れた薬効を持つ漢方としても広く用いられていました。
産地
霊芝は、主に北半球など温帯に生息する広葉樹(クヌギ・コナラなど)の切り株や枯れ木に自生しています。
成分
・βグルカンなど複数の多糖類
・ガノデリン酸などトリテルペン類
・15種類にのぼるアミノ酸
・タンパク質
・アルカノイド
採取シーズン
夏から秋にかけての乾燥した季節に採取されます。
特徴
・香りはないが、わずかな苦みを含んだ食味をもつ
・低温(10℃前後)での生育も可能
・定着からおよそ2ヶ月で生育
・霊芝が定着したあとの原木はスポンジ状の柔らかい状態になる
霊芝は、一般的なキノコ類と比べて低温に対する耐性を有している点が特徴です。
10℃から30℃の気温範囲では、著しい成長度合いを示します。
また、40度以上の高温でも低速ながら生育することが確認されており、その成長力の高さはキノコ類の中でも群を抜いています。
なお、霊芝が定着したあとのスポンジ状の柔らかい状態となった原木や切り株は、カブトムシの絶好の飼育環境となります。
そのため、霊芝とカブトムシの育成を平行して行う生産業者も多いようです。
用法
・煎じて茶として飲用
・乾燥させた上で粉末状にし、飲料や粉末薬として飲用
現在では、粉末や茶として煎じる飲み方だけでなく、粉末状の霊芝をカプセルに封じた製品も登場しており、サプリメントとしても活用されています。
薬効
・免疫力の向上
・血液凝固の緩和
・血圧の安定化
・利尿作用
霊芝には抵抗力を高める成分があり、アレルギーや感染症の治療としても使われています。
また、血流の安定化と血小板過多による血液凝固作用を緩和する作用があり、ごく初期段階での高血圧や、心臓疾患の治療効果も期待できます。
近年ではがんの治療薬としても、研究開発が進められています。
副作用
血液凝固作用の強さから、心臓血管病の治療に用いられる抗血液凝固薬の効能を更に高める恐れがあり、服用に際しては医師の確認が必須です。
持病がある人が服用している医薬品の種類によっては副作用が生じる危険性があるため、利用の制限が行われる場合もあります。
シベリア霊芝
学名” Inonotus obliquus”のシベリア霊芝は、日本ではサビアナタケ属カバノアナタケと呼ばれる菌糸類です。
別名「チャガ」「チャーガ」とも呼ばれています。
霊芝とは、主に脂質やタンパク質、糖質を豊富に含む含有成分に違いがあります。
霊芝と比べると一般に知られてからの期間は短いですが、霊芝と同等、もしくはそれ以上の優れた薬効成分を有していることがわかっています。
近年では、日本を含む世界中でチャーガの効果が広く認識されるようになりました。
産地
主にロシアを中心とした、シベリアなどの極寒地域が原産地です。
極寒地域でだけ生息する白樺が寄生樹となり、白樺以外の樹木には原則として生育しないのが最大の特徴です。
そのため、白樺が大量に群生しているロシアが主な産地となっています。
日本でも、北海道では白樺が生息しているため、かつては国内でも自然群生が見られました。
しかし、シベリア霊芝の優れた薬効成分が知れ渡ったことにより乱獲され、現在では生息数が大幅に減少しました。
成分
・タンパク質
・エルゴステロールなど各種脂質
・食物繊維
・アルカノイド
・サポニン、ケルセチン、シアニジンなど各配糖体
・ビタミン群
・灰分
チャーガは霊芝と比較して、非常に優れた薬効成分が多く含まれているのが特徴です。
極寒地域だけで生育する習性により、熱に対する耐性も高く、加熱などによって失われる成分もごくわずかなため、栄養分が凝縮されています。
採取シーズン
寒さに対する強さが霊芝よりも強いシベリア霊芝は、霊芝よりもさらに寒い、秋から冬にかけての極寒期に採取されます。
これは、シベリア霊芝が寒さが厳しくなる毎に生育するという特徴に由来しており、通常の植物とは真逆の特性があるためです。
特徴
・服用時はわずかに甘みと苦みが感じられる食味を持つ
・白樺の樹木から樹液を吸い取って生育する
・氷点下(-30℃前後)の環境でも死滅することなく生育が可能
・菌の定着からおよそ3ヶ月~4ヶ月で生体へと生育
・シベリア霊芝が定着した白樺は樹液の減少によって生育スピードが低下する
シベリア霊芝は、通常の霊芝と比較して生育力が非常に強く、また低温に対して優れた耐性を有している点が特徴です。
白樺の栄養分を吸い取って成長するため、シベリア霊芝が定着した白樺の木は、栄養分がかなり失われるため、成育スピードが落ちると言われています。
用法
・細かくすりつぶした上でお湯と混ぜ お茶として飲用
・霊芝と同じく、乾燥させて水分を完全に揮発させた上で粉末状に煎じ、粉末薬やカプセル・錠剤として飲用
霊芝と比べると、まだシベリア霊芝の方は一般的な認知度合いは低いです。
そのため、現在では主に医薬品として用いられています。
しかし、医薬品以外にも最近ではサプリメントの栄養成分としても活用されるなど、霊芝と比べ安価なこともあり、少しずつ利用範囲が広がってきています。
食味に関しては霊芝よりも苦みが少なく、ほのかな甘みも感じられます。
そのため、粉末状にしたものを直接飲用しても構いませんし、お茶などの水分に混ぜて飲むこともできます。
薬効
・免疫の向上効果によるアレルギー反応や免疫系がん疾患の緩和
・活性酸素の除去効果による老化防止作用
・利尿作用によるデトックス効果
血液凝固の緩和作用を持つ霊芝と比べ、シベリア霊芝は免疫機能の改善を主目的とした成分が多く含まれるキノコです。
霊芝よりも更に強い抗酸化作用や抗アレルギー作用があり、活性酸素の除去やアレルギー諸症状の緩和が期待されています。
また、霊芝よりも多糖体が豊富なことから、免疫機能の改善効果がさらに期待でき、霊芝では改善できなかった免疫症状の治療に対しても効果を発揮します。
副作用
霊芝と比べ、シベリア霊芝には特に心配されるような副作用はありません。
基本的に、どのような体調の方でも安心して利用することができます。
まとめ
今回は、薬効成分があるキノコとして有名な霊芝と、このところ急激に知名度を高めているシベリア霊芝との違いについて比較しました。
霊芝とシベリア霊芝は同じキノコですが、それぞれに成分や薬効には違いがあります。
霊芝には霊芝の魅力があり、シベリア霊芝にはシベリア霊芝の魅力があります。
それぞれのキノコが持つ特徴をよく見極めた上で、自分が求めている効能があるキノコを上手に活用していきましょう。
うまく活用することができれば、自分がこれまで悩んでいた健康症状を、一気に改善させることができるかもしれませんよ。
ライター名 :とりる
プロフィール:私立系薬学部出身。医薬品や医薬成分に対する知識を用いた記事が得意分野。サプリメントなど様々な効能が期待できる商品に対しても並々ならぬ関心を寄せるほどの栄養マニアな一面もあり。